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がん転移のメカニズム?その2

癌はそれだけ治療すれば完治という場合もありますが、中にはそれだけではすまない場合もあります。それは治療後の転移や再発も考えなければならない場合です。せっかく、がん保険を使って治療を受けても、その後の不安は残ります。ではその癌の転移のメカニズムはどのようなものでしょう。ウロキナーゼやマトリックスメタロプロテイナーゼという物質が癌の転移のメカニズムに重要な役割を持ちます。この酵素活性を阻害することができるならば、癌の転移抑制の制御も夢では無いと考えられたのです。が、残念ながら期待されたほどの成果を得ることはできませんでした。不思議なことにウロキナーゼやマトリックスメタロプロテイナーゼを阻害すると、マウスを用いた動物実験ではほとんど癌の転移が抑制されます。しかし、ヒトの癌では抑制されません。癌が浸潤、転移する場合、癌細胞が局所で増殖し、正常細胞や組織など宿主の細胞や結合織に接着、そのバリアーをウロキナーゼやマトリックスメタロプロテイナーゼといったもので酵素学的に破壊し、細胞が移動、浸潤する必要があります。しかし、酵素活性が強すぎたり、長時間作用すると、癌浸潤の次のステップとしてのさらなる接着や移動が不充分となり、逆に浸潤しにくくなってしまいます。そこでがん細胞は巧妙な仕組みを用いてウロキナーゼやマトリックスメタロプロテイナーゼの阻害物質=ウロキナーゼインヒビターやMMPインヒビター、を産生して、過剰な組織破壊を自ら防止していると考えられます。したがってウロキナーゼやマトリックスメタロプロテイナーゼを単純に中和、抑制することが癌の転移抑制の治療にはならない可能性があります。ヒトの場合、悪性度が高く転移しやすい患者ほど、癌組織中のウロキナーゼのみならずPAIも同時に高値を示すことが知られており、もし、癌の浸潤・転移がウロキナーゼとPAIのバランスで規定されているならば、PAIが高ければウロキナーゼを抑制するため、細胞外マトリックスの破壊が抑制され、結果、癌の浸潤、転移は抑制、予後良好となると考えられますが、実際、結果は逆となっています。したがって、残念ながら、癌転移の治療の根本はまだクリアーできていないのです。おそらく、癌細胞は浸潤、移動しようとする時にウロキナーゼを多く発現し、接着しようとするときはPAIが多く分泌されるのではないと予想されます。また実際の臨床において、癌細胞はそれぞれの性格が異なる構成の集団より成り立っていますが、動物実験で使用する癌細胞は非常に純粋であるため、薬の治療効果が出やすいのではないかと考えられます。

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